マンチェスターで碁を打とう!!

私の父は、昔から将棋が大好きで、私が子どもの時から地元の将棋同好会の仲間としょっちゅう将棋を指していました。でもなぜか碁はほとんど打った事はなく、うちには分厚い碁盤などもあったにもかかわらず、父が碁を打っているのを見た事はありません。父は一度私に将棋を教えようとしましたが、私があまりにも覚えが悪いので、さじを投げた感がありました。そんな私ですから、碁にも一切興味がなく、碁、というと、どちらかというと年配の方たち、特に男性の間だけで人気があるもののように思っていました。時々NHKの教育放送でやっていた、碁のトーナメントの中継などは、これ以上退屈な番組はあり得ない、と思って、あわててチャンネルを変えていたものです。

そんな私が碁に少なからず興味を持つようになったのは、あの大人気を博した、NHK大河ドラマ、「篤姫」を見てからです。現金なものですよね。そして、碁は、平安時代の昔から、清少納言や紫式部などもいそしんだ娯楽であった、と知るに至って、いよいよ、それでは私もひとつ習ってみよう、と興味深深になったのでした。
と、いっても、色々と他に忙しい生活の中で、時間をかけて碁を勉強しようと言うところまでは至らず、1年ほど前に本屋で見つけて購入した、碁の入門の本も、一度も開けることなしに月日が過ぎていました。そんな中、マンチェスターにも碁クラブがある、と言う情報が入ってきたんです!びっくりしましたね。これは一度行って確かめてみるしかない、と思ったんです。

毎週火曜日の夜、マンチェスターの都心のパブを借りて、メンバーの人たちが碁を打っているのだそうで、そのパブを探して行ってみました。あった、あった、マンチェスターを走っている路面電車の線路のすぐ近く、路面電車の汽笛が聞こえてくるようなところに、いかにも古いイギリスっぽい建物の、その名も「シェークスピア」というパブがありました。中に入っていくと、なるほど、もうすでに碁を打っている人たちがいる!日本で、畳の部屋で碁を打っている情景の方に慣れている私には、イギリスのパブのテーブルにすわって、パイントを片手に碁を打つ姿、というのは不思議な感じがしました。でもそれと同時に大感激!さっそく、お話を伺ってみる事にしました。では、ビデオをご覧ください。

そうですか。碁のほうがチェスより奥が深いと。碁は中国で始まったとはいえ、日本文化ともいえるもの。これを聞いて私はうれしくなりましたね。碁は、チェスや将棋と違って、広い碁盤の、どこに最初に石を置くかは、打ち手次第。あらゆる可能性がありうるわけです。そして、その広い碁盤の上で、一箇所では相手を勝たせておいても、他の部分では自分も勝てる、というあたりが、とても「日本的」だと言われました。つまり、すべてを征服しなければ気がすまない、というのではなく、「負けるが勝ち」的な、相手に対する寛容な接し方、というのが日本らしい、ということで、思わず、「あなた、わかってるじゃない」と言いたくなったコメントでした。どうですか、みなさんも、この懐の深い碁の世界を探求してみては?かく言う私も、それ以来やっと、日本で買った入門書のページを開くようになりました。

イギリスには、英国碁協会というのもあって、イギリス中で、碁は楽しまれているそうです。イギリスに来て、碁を地元の人と打ってみる、というのも一興かもしれませんよ。碁は言葉を超えたゲームですものね。

錦鯉はマンチェスターでも大人気!

錦鯉といえば、日本庭園の象徴ともいえるもの。いつ見ても、美しくてあきませんよね。ただ、自宅の庭に錦鯉がいる池がある、という方はそれほど多くないかもしれませんが。私自身も、自宅の庭で、錦鯉にえさをやれるようになれたらいいなあ、と夢見るばかりです。

そんな私が、ある日、ひょんなことで招かれたおうちで、でっかい池とその中に優雅に泳ぐ錦鯉を見たときの驚きを想像してください!それも、普通の池と違って、外の庭ではなくて、うちの中に池があるんです!そのおうちの方が、「まあ、ちょっとこちらへ。」なんていって、リビングルームの一方のドアをあけると…..ええ?!なんと、大きくて美しいプールが、室内に作ってあるんです。(まあ、ホテルの温水プールの感じでしょうか、ただ、そこまでは大きくないですが。)そしてその中で、錦鯉たちが悠々と泳いでいるのでした。「いやあ、錦鯉を見ていると、リラックスできますよ。」などといって、プールの周りにおいてある、ラウンジチェアにすわられましたが、そりゃあそうでしょうね。
このおうちの写真は、プライベートなので載せることができないのが残念です。

そこで、マンチェスター近辺でも、錦鯉を飼っている人がいるんだ!と言う事に目覚めた私は、錦鯉の業者を探してみました。そして、さっそく伺ってきました。まずは、ビデオをご覧ください。

ここは、UKNishikgoiさんといって、2008年にオープンされたそうです。オーナーのクリスさんは、25年も前から、ずっと錦鯉を飼っておられたそうですが、イギリス国内で、錦鯉の需要が高いので、業者になることにしたそうです。なんでも、1970年代の始めに、誰かが錦鯉を初めてイギリスに持ち帰ったそうで、それから、静かなブームが続いているということです。

広々とした店内に、大きいプールがいっぱいあって、その中にたくさんの錦鯉が気持ちよさそうに泳いでいました。なんといっても、ここの錦鯉は、すべて日本から空輸されて来るんです!クリスさんは、年に1,2回、日本に行って、錦鯉を仕入れてくるそうです。いつも、新潟県の山古志村(やまこしむら)や川口村、それに山梨県の石和町(いさわちょう)に行かれるそうです。私は、こういうところで、錦鯉が育てられているなんてことも、クリスさんに聞くまでは知りませんでした。

鯉は、そこで購入してから、2週間でロンドンに着き、それをとりに行って、それから8週間の検疫の過程を経なければなりません。この検疫は、UKNishikigoiさんのうちの、検疫用のプールで、輸送で疲れた鯉を回復させ、そして病原菌などが何もついていないように確認するためのものです。鯉は、ビニール袋に、酸素と少しの水と一緒に入れられて、30~36時間ぐらいもかかって日本からはるばるやって来ます。だから、鯉も疲れるはずですよ。UKnishikgoiさんでは、一度に2トンもの買い物をすることもあるそうで、その輸送コストは、本当にバカにならないということです。それでも、この仕事の一番の楽しみは、日本に行って、日本の錦鯉業者から、いい鯉を見つけて買う事だそうです。

私は日本人でありながら、錦鯉のことは何も知らなかったので、今回はすごく勉強させていただきました。UKnishikigoiさん、どうも有り難うございました。

津軽三味線がひけるイギリス人をみつけた!

「僕の趣味は三味線を弾くことです。」最初に彼がそういったとき、私は自分の耳を疑った。「えっ?津軽三味線?」そう、彼、リアム モーガンは、なんと三味線を弾くのだ。いったい、そもそもどうやって、ここマンチェスターで三味線を手に入れたんだろうと思って聞いてみると、どうやら、皮が破れていて、安く売りに出されていたのを、Ebayで買ったのだそうだ。そして、自分で何とか皮を張って、Youtubeで津軽三味線を弾いているところを聞いては、耳で覚えて、弾けるようになったらしい。だから、日本で津軽三味線を習いに行くのとは、ずいぶん違う状況で彼は弾けるようになったのだ。三味線を持ってきてもらって弾いてもらうと、うまい!わたしのような一般の日本人には、プロが弾いているのとそう変わりないように聞こえる。すっかり感心してしまった。 

もっとも、細かいことを言えば、彼の三味線は津軽三味線用の太棹ではなく、中棹だから、日本だったら、中棹を使って津軽三味線を弾こうとする人はいないだろうが、太棹はどうしてもここでは手に入りにくいらしい。日本人なら、自分で三味線を修理するなんて、これも考え付かないが、彼はとにかく弾きたい一心で、一生懸命本を捜して読んだり、Youtubeで調べたりして、試行錯誤しながら自分で修理し、皮を貼り、弾き方を学んでやってきたのだ。(もし私が日本にいたとして)すべてお膳立てがそろっていたとしてもなかなか三味線など弾く気になれない、一般の日本人のわたしとしては、まったく頭が下がる思いである。彼はもともと、中学生の頃からギターが趣味で、バンドも作って、かなりの腕までだったらしいから、その素養はあったには違いないが、それにしてもお見事。 

彼にとって、津軽三味線を弾く事は、心を無にすることらしい。彼は生活費に使わなくてもいいお金をすべてつぎ込んで、もっといい三味線を、もっといい皮貼りを、と、飽くなく探求し続ける。それも、日本にいるのではないから、何一つとっても手に入れるのが大変なのに、である。日本の伝統文化に、ここマンチェスターで、こんな形で出会い、そしてその伝統文化が、若いイギリス人であるリアムに、替えがたい喜びを与えているのを知ると、日本にいる間に、もっと日本の伝統文化に接していればよかった、と後悔するとともに、ああ、私は日本人でよかった、神様、どうもありがとう、と心の中で手を合わさずにはおれない気持ちになってしまう私であった。 

私が彼の演奏を聴いたときの、驚きと、感激と、感謝の思いを、日本人の皆様にも味わっていただけたら、と思い、彼の演奏をわたしのブログに載せることにしました。なにかコメントをいただけると嬉しいです。